スタッフブログ

2026.01.14

エコバウ建築ツアー(欧州視察) ⑥

こんばんは!

ここにきて友人からNISA関連のことをよく聞かれる中桐です(#建築士ですが…笑)とはいえ、せっかくなので私が講師として、友人限定でセミナーをやってみようかと思います。肩書きないので、みなさまには申し訳なくてできません…(笑)

 

さて、昨年のエコバウツアーのレポートも残すところ今回含めあと2回で完了となりそうです。

が、その前に一つ宣伝です。

直前案内ですが、明日15日(木)の17:00~18:30に主催のイケダコーポレーションさんの方からエコバウ報告会というオンラインイベントがあります。今回ツアーに参加したメンバーが感じたことや今後の建築や暮らしに対してそれぞれが思うことなどを共有していきます。コーディネーターの滝川さんも参加されますので、建築やこれからの住まいにご興味ある方は是非ご覧ください。一般公開されていて無料です。ちなみに私も出演します!

 

5日目 -day5-

この日も早朝からバス移動。その前にホテル隣のスーパーで朝食前の朝食(笑)、パンとコーヒーを購入。

このツアーも終盤ですが、日本食が恋しくなることもなく現地の食べ物を好んで食べていました。

5日目は、スイスにおける【素材と森】を深く学ぶ一日でした。

これまで見てきた建築や産業を、もう一段手前から支えている存在。その基盤に触れる日でした。


■HAGA社|建築思想がつくる建材に浸透している会社

午前中は、自然素材メーカーのHAGA社を訪問。従業員は約40名と決して大きな会社ではありませんが、ここにはスイスらしい【バウビオロギー(建築生物学)】の思想が色濃く根付いていました。

ここで朝食を頂きながら社長のトーマス・ビューラー氏からのレクチャー、そのまま皆で社内を見学しながらスイス漆喰の製造過程や様々な自然素材を含む建材を学ぶ。

印象的だったのは、「トレンドではないが、必要なものをつくる」という姿勢。

HAGA社はそうした地味だけど本質的な部位を大切にしているとのこと。

レイムボードという粘土ボードの売上が伸びているそうで、その理由も、単なる環境配慮ではなく、調湿・蓄熱・可逆性
といった【建築としての合理性】からきている。このあたりがやはり環境先進国としての強さを感じました。

価格差は、レイムボードと石膏ボードで約10スイスフラン。約2,000円レイムボードの方が高い。

確か1枚辺りの価格差でサイズは日本の3x6版よりは大きく、800円/㎡ぐらい高くなるはず。

違っていたらすみません…(笑)高いのは間違いないが、高いから使えないではなく、なぜそれを選ぶかが共有されている。

他にも刷毛工場から出るゴミを「スサ」として再利用するなど、素材の循環も当たり前のように組み込まれていました。


■築400年近い家々が街並みを形成

HAGA社を後にし、同じくHAGA社の建材を使ってリノベーションされ今も住み継がれている1640年に建築された家へ。

移動途中、不要になった本を町の一角に並べ、皆で本も大切に共有していることに驚き。

日本でも図書館や施設内ではあるが、ここでは街並みに溶け込むように置いてある。

リノベされた家の中にも入りましたが、断熱性能はさすが。

しっかりと改修で担保されていました。

ただ、私が気になったのは、床のレベル(水平具合)がかなり悪い。

簡単に言うと床が傾いていました。(古いのである程度は仕方ないが…)

床は剥がして断熱を入れたと聞いていたので、この傾きは直せなかったのか?と質問したところ、「出来るだけ直した」とは言われていました。

言われてましたが、日本だと確実にNGレベルの傾きでした。おそらくこのあたりの精度には日本人の方が敏感で、現地の方は、そう??みたいな感じでしたので、この辺にも国民性はでるのかもしれません…(笑)

ただ、築400年近い家をしっかり改修して、住み継いでいるという事実には頭が下がります。

その後も、スイスの街並みを見て回り、次の目的地へ。


森へ|川上を見ずに建築は語れない

午後は、森林管理の現場へ。ここで一気に時間軸が何百年単位に引き延ばされます。

スイスの森林は、ほとんどが私有林。
そのあり方は、私有林率が約7割を占める飛騨の山に似ていると感じました。

特徴的なのは【恒続林】という考え方。

・一斉伐採はしない

・植林もしない

・自然更新を基本とする

1区画に介入するのは58年に一度。大きな木を伐るときは、必ず稚樹の世話も同時に行う。

重機は道以外に入れない。「森林内の気候を安定させることが、何より重要」

と語るのは、フォレスターのロルフ・シュトリッカー氏。このフォレスターとはスイス(ドイツ語圏)では、明確な【専門職・国家資格】で社会的評価も高い職業です。

簡単に言うと、森の番人みたいな仕事で、森を「育て・守り・使い・次世代につなぐ」責任者。

なんかカッコいいですよね。日本にはない職業かと思います。


森は「管理しすぎない」ことで強くなる

ロルフ氏の話で印象的だったのは、森の中の気候を安定させることが、すべての出発点だという考え方でした。

森の内部が安定した環境で保たれることで、多様な動植物が共存し、バイオマスが活性化する。
その積み重ねが、他には代えのきかない土壌を育てていく。

逆に、夏と冬、昼と夜の温度差が激しすぎる環境を、土壌は嫌う。
だからこそ、伐りすぎず、入れすぎず、「管理しすぎない」ことが、結果的に森を強くする。

ロルフ氏の【土がすべての生産の基盤】という言葉が、強く胸に残りました。


経済と自然は対立しない

もう一つ印象的だったのが、【利益があってこその自然保護】という、ごく現実的な考え方です。

例えばカエデ材。1120フランの木でも、美しい杢が出れば1000フラン以上の価値を持つ。

価値があるから、丁寧に育てられる。丁寧に育てられるから、森が守られる。

自然か経済か、という二択ではなく、両方を同時に成立させる仕組みが、すでに回っている。

ここでもやはり、理念ではなく【現実として成立している】ことが、何より印象的でした。


■5日目のまとめ

5日目は、建築の話をしているようで、【森と土と時間】の話をしていた一日でした。

4日目までに見た建築や制度は、すべてこの川上から成り立っている。

素材を選ぶことは、森のあり方を選ぶこと。森をどう育てるかは、社会をどう続けるかという問いそのもの。

建築の仕事をしている自分にとって、一番原点に立ち返らされた一日でした。

そして、ロルフ氏の森に対する情熱が私含め皆の胸に響いた日だったと思います。

長いようであっという間だったこの建築ツアーも次回ついに最終日です。

最終日は、再生可能な素材以外は全てリユース材でつくられた木造集合住宅で最後にまた一つ衝撃を受けた話から帰国までです。それに加えせっかくなので、冒頭ご紹介した明日15日の報告会のことも少し書ければいいな、と思っています。

ということで、最終回はおそらく来週です!

 

それでは、素敵な一日を!